2015年11月24日火曜日

MotoGP:ホンダがストーナーを手放した理由を考察してみた


http://itatwagp.com/2015/11/24/motogp-3753/

すでにご存じのように
2016年から、ストーナーはホンダとたもとを分かち
ドゥカティのテストライダーとなる。

一応、HRCの中本氏は「寂しくなるよ」
というコメントを発表しているが
オイラは、このコメントは
正直に受け取ってよいかどうか
疑問を感じている。

ストーナーがホンダを離れた理由について
ペドロサの代理を申し出たのにHRCが却下し
かわりに青山を走らせたとか、
鈴鹿八耐でのマシントラブルのせいだとか、
ストーナーが今年のマシンはアグレッシブだ
と言ったのにホンダが無視したせいだとか
いろいろな噂話が記者により流されていた。
(ソースは・・確かmotomatters.comだったはず)

が、しかし、2015年の前半に
マルケスが「マシンがアグレッシブすぎる。」
と文句を言ったことに対して、ストーナーが
「本当にアグレッシブなのはドゥカティで、
ホンダは全然アグレッシブではない。」
とコメントしたことを
上記の記者は忘れてしまっているようだ。

オイラの推測では、今回の件は
ストーナーがホンダを切ったのではなく
ホンダがストーナーを切ったのだと考えている。

理由は、ストーナーが優秀なテストライダーではないから。

テストライダーに必須の条件は、たぶん二つある。

・一つは、あまり独特な走り方をしないこと
・もう一つはコミュニケーション能力

以前、このブログで、ストーナーの伝記について
書いたときにも触れたとおりだが
    ↓    ↓    ↓
オイラが「たとえストーナーでもマルケスに勝てない」と思うただ一つの理由

125cc時代、メカニックはストーナーの主張を理解できず
「走行データにはそんな兆候はない。」
と切り捨ててしまったことがあった。

ストーナーの走り方は、当時から欧州ライダーと違って
独特な走り方をする、と言われており、
すでに周囲の理解が追いつかず
「天才は孤独」という状況になってしまっていた。

2015年のマシンにしても
ストーナーにとっては全くアグレッシブではなく
ごく普通に乗れるマシンだったのではないか?

なにしろストーナーである。
ロッシも手を焼いたドゥカティを
唯一乗りこなした男である。

800cc以降のドゥカティは
ストーナーをもってしても「アグレッシブ」
と言わしめるマシンであり、
2007年にストーナーがドゥカティに移籍しなければ
ドゥカティは自らのマシンの欠点に
もっと早く気が付いて、必要な対応を取ることができ、
現在の低迷もなかった可能性がある、
とオイラは考えている。

そして今年のホンダ。
たぶん、ホンダは知らないうちに
ストーナーでないと乗りこなせないマシン
を作りはじめてしまっていたのではないか。

もしくは、マルケスがストーナーのマシンを
ノーと言った可能性もある。

ホンダはそれゆえ、(ストーナーに比べれば)凡庸な青山に
より経験を積ませるため、
ペドロサの代役に指名したのではないか。

もう一つの条件であるコミュニケーション能力
についても、これまた以前に触れたとおり
ストーナー最大の弱点がこれである。

たぶん、ホンダの技術者でさえ
ストーナーときちんとコミュニケーションを取り、
彼の言い分を正しく理解するのは至難の業なのではないか。

しかも、2016年からタイヤ供給メーカーが
ブリヂストンからミシュランに変更になる。

伝記でも書いている通り、ストーナーは
ミシュランに対してはかなり不信感を持っており
「誰を勝たせるか意図的に選んでいた。」
と非難していた。

伝記でその部分を拾ってみると
フリー走行や予選で良いセッティングを出せたのに
決勝用タイヤを履かせたとたん、
マシンが全く走らなくなってしまうことが多かった。
これはミシュランが意図して行ったことに違いない。
・・・・というのがストーナーの主張。

オイラの見方は違う。
そもそも、工業製品は必ず品質のブレがある。
限界ギリギリの走行をしているライダーたちには
そのブレが思いもよらぬ影響を及ぼしてしまうことが多く、
たとえばかつてSBKでも、芳賀選手が
予選までは好調だったのに、決勝で急に遅くなり
何が起きたのか聞いてみると、
「不良タイヤに当たってしまった。」
とコメントしていたことがある。

芳賀選手にしても、ストーナーにしても
タイヤの品質の違いを敏感に感じ取り
走りを乱されたのであろう。

外れのタイヤに当たってしまった時に
そのタイヤでそれなりに走る能力、というのは
速い・遅いとは別にあって、
それこそが、「安定性」のあるライダーか否か
の正体だとオイラは考えている。

これらの要因を総合的に考えて
ホンダは、「ストーナーは不要」
と判断したのではないか。

現在、HRCが取り組んでいるのは
マルケスが2016年のチャンピオンを取れるマシンを作ること、
と同時に、2014年からの継続しての問題、
ライダーを消耗させないマシン作り、である。

クラッチローも、ホンダに乗り換えた時に
ホンダは体力を消耗させるとのコメントを残しているし、
HRCの中本氏も、この点がヤマハに対し
ホンダの劣っている所であると認めている。

そういう意味では、天才ではなく
凡才・・・と言って悪ければ、努力の秀才あたりが
テストライダーとしてふさわしい
とホンダは考えているのではあるまいか?

0 件のコメント: