2015年7月2日木曜日

映画『イージ・ーライダー』



ちょっと前の話だけれど、
映画『イージー・ライダー』のバイクが
競売にかけられ、かなりの価格が付いた
ということで話題になった。

http://www.cnn.co.jp/showbiz/35055677.html
http://jp.autoblog.com/2014/09/23/harley-davidson-easy-rider-1-million-auction/

映画『イージー・ライダー』は
「彼らはアメリカ(自由)を見つけに旅に出た。
しかし、そんなものはどこにもなかった」
というキャッチコピーの通り、
1960年代のアメリカの置かれた状況を描いている、
と言われているが、実はそうとばかりも言いきれない。

見た目が奇異だからというだけで
「気にくわない奴ら」と呟く農夫に
主人公が銃で殺されるラストは、あまりに有名だが、
オイラは、実はあの農夫と同じ視線を知っている。

それはもうン十年も昔の話。

まだ大学生だったオイラは
青春18切符とかバイクとかで
寝袋を担いで旅をしたりしていた。

そういう若者に見せる一部の大人たちの視線は
まさに、あの農夫のそれと同じ。

何もしていないのに「出ていけ!」
と言われたことさえある。

オイラが圧倒的に安い青春18きっぷの旅をやめ、
バイクでのツーリングに傾いていったのも、
バイクなら、人なんかいない山奥まで行って
テントを張って寝るのが容易、
という事とも無縁ではない。

内田樹によれば、イージー・ライダーとは
「どこでも、『ここ』と同じだろ」というなめた他者認識
を、アメリカ人が共有していく過程を描いた、
・・・・・ということになるわけだが、
この国では元々、他者が自分と違うことが前提になっていない。

だから、『イージー・ライダー』は
アメリカでは製作されて大きな反響を集めたが、
日本では、そもそも何を言いたいのかさっぱり分からない、
という人間の方がはるかに多かったのだ。

それからずいぶん長い時が過ぎ
オイラはあの頃の「大人」と言われる年齢になったが、
やはりこの映画のラストを見るとぞっとする。

だからオイラは、
他者に迷惑をかけているのでもない限り
奇怪な若者を見かけても、
「俺は『あの農夫』ではない。」
と呟くだけにしている。

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