2012年12月4日火曜日

スーパーバイクの理念?

WSBKでのドゥカティ・トップチームだったAltheaは
ドゥカティから手を切られたことを機に
マシンをアプリリアにスイッチすることになった。

とはいえ、アプリリアにはワークスマシンと
サテライトマシンの間に明確な違いがあり、
Altheaがドゥカティ時代のように
トップ争いができるかというと、
それはかなり怪しい。

ワークスとサテライト、プライベーターの
マシン間に差がある、なんてのは
どのレースでも当り前ではあるけれど、
しかし、スーパーバイクの理念を考えると、
今のアプリリアをはじめ、各チームの体制は
いかがなものか、と思う。

歴史をたどると、欧州で発達したWGPは
排気量などの制約以外、何でもあり、のレース。
これが、今のMotoGPである。

また、耐久レース用に市販バイクをベースにした
プロトタイプマシンが出てきたため、
これをルール化したのがTT。

日本でも、TT-F1(4st750cc主体)や
TT-F3(4st400cc主体)などが、鈴鹿8耐を
走っていたことを覚えている人もいるだろう。

しかし、このTTは、あまりにも改造範囲を
広く認めすぎ、また世界的に耐久レースの人気が
落ち込んできたこともあり、次第にすたれていく。

一方、欧州とは別の道を行くアメリカでは、
アマチュアリズム溢れるレースが始まっていた。
メーカーが威信をかけてごく少数作るプロトタイプではなく、
誰でも購入することのできる市販車でレースをする。

しかも、改造範囲を広く認めると
隠れワークスが出てきてしまうので、
改造も厳しく制限する。

バイクの性能ではなく、腕で勝負を決める。

それが、アメリカ発のスーパーバイクの
本来の姿である。

TT-F1の費用高騰、耐久レースの人気低下に
悩んでいた欧州が、このスーパーバイクに
飛びついてできたのが、現在のWSBKである。

が、このWSBK、欧州に上陸して
明らかに変質を始めた。
2010年、骨折からのリハビリで
WSBKマシンで肩慣らしをしたロッシが、
「これは市販車ではなく、プロトタイプだ。」
と言ったのは、けっこう有名な話だ。

その結果、WSBKは、いまやMotoGPと
区別がつきにくい、と言われるに至っている。

違いがあるとすれば無敵ホンダに
戦いを挑むのを避けるメーカーが
ワークス参加しているため、
MotoGPを、メーカーの顔ぶれが違う、
ということくらい。

この二つのレースをどう両立させるか、
新しくWSBKも手中に収めたドルナが、
どういう手を打ってくるかだが、
欧州人であるドルナの考えでは
元々のスーパーバイクの理念に戻ることはあるまい。

写真は以下から
http://www.asphaltandrubber.com/racing/althea-racing-aprilia-2013-world-superbike/


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