2014年10月24日金曜日

CFRTPを使ったバイクは作れるか

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140616/358946/?rt=nocnt

炭素繊維強化熱可塑性プラスチック
略してCFRTPという。

といっても、これだけでは何のことか分からないだろうから
CFRTPについて、ざっとまとめてみる。

炭素繊維(CF)というのが鉄より強くてアルミより軽い、
夢の素材である、というのはよく知られていると思う。

炭素繊維というのは、炭素90%以上で出来た糸である。
軽くて強いのが特徴だが、しょせんは糸なので
このままではあまり利用価値がない。

そこで、布を織るように炭素繊維を組み合わせ、
それを樹脂で固めたものが使われている。

我々が、通常目にしているのは
樹脂で固めた後の炭素繊維である。
これを炭素繊維強化プラスチック(CFRP)
と呼ぶ。

このCFRPは、軽くて強いのが特徴だが
従来のものは、熱硬化性樹脂を使っていた。

プラスチック材料には2種類あって
「熱硬化性」と「熱可塑性」とがある。

「熱硬化性」とは何かというと
一度加熱する(=焼き固める)と硬くなり
あとはその形を保つ、という樹脂を指す。

一方、「熱可塑性」というのは
加熱すると溶け、冷えると固まる。
しかも何度でも溶かしたり固めたりできる。

加工という点では、圧倒的に
「熱可塑性」樹脂の方が楽だ。

しかし、従来のCFRPでは
熱硬化性樹脂しか使えなかった。

理由の一つは炭素繊維と樹脂の密着性が劣り、
強度の点で充分なものができなかったためだ。

しかし、熱可塑性樹脂の方が
加工が圧倒的に楽なので
コスト的にはものすごく安くなる。

この点に注目して、最近、熱可塑性樹脂を
使った炭素繊維の研究が進んでいる。

それが炭素繊維強化熱可塑性プラスチック
略してCFRTPという。

このCFRTPは安い代わりに
強度や耐熱性には限界があるが、
一つ、今までのCFRPにはない特徴がある。

従来の炭素繊維の欠点として
挙げられていたのが、
壊れるときにパリンと割れること。

専門用語では「脆性破壊」という。

このため、CFRPでホイールやフレームを作ると
破壊したときの鋭い破断面で
ライダーが二次被害を負う可能性が高い。

しかし、CFRTPは鉄やアルミのように
グニャリと曲がって壊れる。

こういうのを「延性破壊」とよび、
これだと鋭い破断面による二次被害が防げる。

CFRTPはまだ開発途上の物質で、
素材としての利用は、本格的には始まっていないが
四輪用ホイールとしては
すでに開発が行われているようだ。
↓    ↓
SABIC社とKringlan社、CFRTP製ホイールを世界で初めて開発

将来、これでバイクが作られるようになるかもしれない。
まずは、安価な軽量ホイールに期待したいところだ。

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