2013年7月16日火曜日

MotoGP:ヤマハ・ENEOS、出光・ホンダの持つ意味


http://www.idemitsu.co.jp/tady/team_machine/index.html

2,3年前にヤマハファクトリーチームからスポンサーが
どんどん離れていったとき、
日本のENEOSがスポンサーに名乗りを上げた。

ENEOSは、メインスポンサーにこそならなかったものの、
たとえばロレンソやロッシのツナギの胸の部分に
ロゴを入れてもらうなど、かなりの出資をしている。

「ENEOSって、日本の石油会社なのに、
海外に名前を売ってもしょうがないじゃん。」
・・・なんて考えているアナタ、それはちょっと違う。

日本のバイクメーカーと海外のバイクメーカーの違いの一つに
純正ブランドのエンジンオイルを持っているかどうか、がある。

つまり、日本のバイクメーカーは
エンジンオイルでも商売をしている。
たとえばヤマハなら、ヤマルブという子会社がある。

しかし、ヤマルブのオイルはヤマハで作っているわけではなく
予算と要求性能だけ示して、石油会社にOEM生産させているもので、
ヤマルブは単なるオイル販売会社でしかない。

このメーカー純正油、(かなり買いたたかれるので)
石油会社にとっては、利幅はごく僅かだが、
なにせホンダならホンダ全世界の純正油を
一手に引き受けるわけで、販売数量と安定顧客という点で
石油会社にもそれなりにオイシイ商売である。

しかも欧米の石油会社は
「そんな下請みたいな仕事できるか!
 おれっちが作ってるオイルそのまま使え!!」
と、そんな仕事はハナから相手にしないし
(だから、Ducatiの指定油はシェルが普通に作っている
 シェル・アドバンスなのである)
途上国の石油会社の多くは、技術がないので参入できない。
つまり、競争相手はほとんどが日本の石油会社ばかりである。

その純正油の世界だが、現在までのところ
ホンダは比較的ENEOSとのつながりが深く
ヤマハは比較的出光とのつながりが深い。

ここまで来ると、ハハーン、と思った人もいると思う。
ENEOSがワークスヤマハにスポンサードしたのは
ヤマハ純正油に食い込むことが第一の目的のはずだ。

また、日本の石油会社は国内の二輪市場など
ごくわずか、ということでハナから相手にしていないが
海外、特にアジア市場では増大する二輪市場向けに
様々なバイク用オイルをそろえている。

ここのところ、日本のバイクメーカーが
アジアに工場進出しているが、それに合わせて
ENEOSや出光も海外工場を立ち上げている。
狙いはもちろん、アジア市場である。

ロレンソやロッシの胸にENEOSマークが光っていることは
アジアの現地石油メーカーに対してのブランド力アップにもなる。

こうなってくると、今度はヤマハで守勢に立たされているであろう
出光の動きが気になる・・・・・と、思ったら、今年になって
Moto2の高橋選手が走る「IDEMITSU Honda Team Asia」の
メインスポンサーとして、出光がGPに出てきた。

出光の狙いは、ほぼ確実に、ENEOSに奪われたヤマハのシェアを
ホンダで奪い返すことだと思われる。出光としては
本当はワークスホンダに食い込みたかったのだろうが、
ワークスホンダは、(ご存知の通り)
長年スペインの石油会社であるレプソルがメインスポンサーとしており、
競合他社の出光が入り込む余地はない。

実際に、両社の純正油納入量がどうなったか、は分からないが
ともかく、レースの現場の外側で
日本の石油会社によるシェア争いが過熱している。

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