2012年5月18日金曜日

MotoGP:理想に到達してしまった天才?


以前、オタクの友人から「ぜひ読め」
と、渡された少女マンガがある。

そのマンガは水泳のスポコン物で、
あるとき、主人公のライバルがコーチに
「君はなぜ練習するんだい?」
と、訊かれ、
「ライバルに勝つため。」
と、答えるシーンが出てくる。

すると、コーチは
「では、何回もオリンピックで金メダルを取り、
 ライバル不在とまで言われるようになった大選手は、
 なにを目標に練習すると思うんだい?」
と問いかけ、その彼女は答えに詰まってしまう。

その答えは「理想」だという。
その選手の中には確固たる「理想の泳ぎ」のイメージがあり、
全てはその「理想」に少しでも近付くために努力を続けている。
そのため「どんな勝利も栄光も彼女を満足させられない」
のだという。

マンガも馬鹿にしたものではないし、
オタクの友人の目も、確かだと思ったものだ。

しかし、絶頂期に突如として引退してしまう選手もいるのは事実だ。

近年での、そのような選手としてはAMA-SXのカーマイケル選手がいる。
四輪転向によりモトクロス界からの引退を発表したカーマイケルは、
引退試合において、スチュワートと、歴史に残る一戦を演じた。
その姿は、今も自分の目に焼き付いているし、
その試合はDVDにダビングして、今も保存している。

ケーシー・ストーナーも、引退の理由について
いろいろ尋ねられ、それ相応の答えをしている。

確かに、非欧州人で、ロッシに楯ついた彼にとって
GPは居心地の良い場所ではなかったのは事実。
それにより熱意を削がれた部分もあるだろう。

しかし、それだけではなく、ストーナーはひょっとしたら
「理想」を手に入れてしまったのではないか。
理想を手に入れてしまった以上、もはやバイクレースには
彼を惹きつけるものは、もはや何もないのかもしれない。

ともあれ、残り少ない不世出の天才の走りを
目に焼き付けておいても損は無いと思う。

写真は以下から
http://www.asphaltandrubber.com/racing/casey-stoner-explains-retiring-motogp/

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